お茶鑑定のために嗅覚を鍛えたい。フレーバーホイール編

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フレーバーホイールとは?

飲料(など)の味やにおいを表現するために、さまざまな味・香りの表現を類似したものが隣り合うように円形(あるいは半円形)かつ階層的に並べた図のこと。キャラクターホイール、フレグランスサークルとも。
香りのみを配置したものはアロマホイールといわれることも。
参照:フレーバーホイール 専門パネルによる官能特性表現 [化学と生物 2012-50, p. 897-903]

お茶を表現するためのフレーバーホイールは、ネット上で見られるものだけでもかなりの数に上ります。
どういった香りの項目が共通項とされているかを調べるため、一覧にしていこうと思います。
基本的に転載・複製は禁止ですので、リンクを貼ってご紹介。

日本茶のキャラクターホイール

三井農林の日本茶キャラクターホイール

日東紅茶で有名な三井農林さんが作成した日本茶のフレーバーホイール。
紅茶のホイール(後述)作成から発展して作られたようです。
日本人になじみのある表現を用いることを目指したというだけあって、柏もち、ふかしいも、桜もちといった香りがワードから浮かんできそうな表現が多く、表現者だけでなく受容する側にも受け入れられやすいホイールだと思います。

農研機構の日本茶フレーバーホイール

農研機構さんが開発した新品種”せいめい”の紹介パンフレットの中にフレーバーホイールを用いた評価鑑定の項目があります(p.36-)。
シンプルながら特色をとらえた使いやすそうなホイールです。マヨネーズとかたくあんの項目が狙い撃ちという感じでGood。
Excelを利用したオリジナルホイールの作り方が載っているのも地味にお役立ちではないでしょうか。

静岡県農林研茶業研究センターのフレーバー・プロファイル・マッピング

PDF>https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-820/seika/2016gijutupanhu/H28-53.pdf

これ、フレーバーホイールではないのですがかなり直感的にわかりやすいのでご紹介。
県農林研が香り緑茶の香りを視覚化するプロジェクトとして開発した、機器分析評価と官能評価を結び付けて1つの表のうえにベクトルの集合として表現した図です。
各種香り成分と官能評価的な香りがきれいに結びついているので、見ることでいろいろ気づきがあるんじゃないでしょうか。

緑茶・半発酵茶のキャラクターホイール

台湾行政院農業委員会茶業改良場の各種茶フレーバーホイール

台湾の茶業改良場が作成したフレーバーホイールです。いわば国家プロジェクト。
緑茶、包種茶、烏龍茶(2種)、東方美人茶、紅茶の6種のホイールが用意されています。
万人に香りのイメージしやすい項目が多く使いやすくできていますが、空芯菜やタロイモなどの項目があるのもお国柄という感じでまた味があります。
繁体字のほかに英語版、そしてなんと日本語版が用意されています。ありがとう台湾……!

紅茶のキャラクターホイール

三井農林(日東紅茶)の紅茶キャラクターホイール

三井農林さんが作った紅茶のフレーバーホイール。
前述の日本茶のホイールと同じく、日本人に伝わりやすく共有しやすい項目づくりを目指して作成されました。
さすがに日本茶のものよりはやや西洋に寄ってる感じもしますが、黒砂糖、湿布薬、枝豆といった項目は意図通りという感じでしょうか。ウバ湿布わかる~(飲むたび言う)。
参考文献として挙げられている、作成に当たって書かれた論文もとても参考になります。
参照:紅茶キャラクターホイールの作成と紅茶特徴の可視化 [におい・かおり環境学会誌 2014-5,p344-350]

紅茶のフレーバーホイールはいっぱいあるので、あとは項目だけのご紹介。

International Tea Masters Assosiationのアロマホイール

Australian Tea Mastersのフレーバーホイール

おまけ:麦茶のアロマホイール

はくばくの麦茶フレーバーホイール

カメリアシネンシス関係ないやんけ!と言われそうですが、あまりに面白いのでご紹介。
麦茶の香り、言ってしまえばほぼ火香だと思うのですがそのなかでこれだけ馥郁多種多様なホイールが作れるというのは素晴らしい。日本茶も火香は重要な構成要素ですから、勉強になる点が多々あると思います。

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